かつてはシンガポール最古の中国寺院だったフク・タク・チー博物館。チャイナタウンにある、あざやかに修復された代表的建築物です。
フク・タク・チー博物館は現在、魅力的なデザイナーズホテルの敷地の一角を占めています。
発展のさなかにあっても、この博物館が姿を消すことはありませんでした。ファー・イースト・スクエア近辺に足を運んだ際はぜひ、この趣のある建物を訪れてみてください。保存状態の良い敷居をまたぐと、そこにはオフィス街の喧騒とは無縁の空間が広がります。ショップハウスやオフィスビルの真っ只中で、沈思黙考のひとときを過ごせます。
もとは神社
フク・タク・チー寺院は、元々、儒教、道教の信者が崇拝する中国の神「大伯公」を祭った神社でした。広東人と客家人の移民によって1820~1824年に建立され、多くの中国移民がシンガポールへの旅の加護に感謝を捧げに訪れました。
寄付が殺到したこの寺院は、1825年にレンガで建造されます。その後、何度か改修が行われてきました。例えば、1869年には、福建人コミュニティのリーダーであるチアン・ホン・リムの出資による全面改修が行われました。
改修と再開発
寺院はのちに、広東人および客家人のコミュニティの拠点となり、紛争解決を行う福祉協会としての役割も果たしました。
この建物の色鮮やかな歴史を保存するため、建物は1990年に政府に引き渡され、寺院はゲイランにある聖廟へと移転されています。中国とマレーシアの職人によって完全に修復されて博物館として開業したのは、1998年のことです。