シンガポールは現代的な大都市ですが、多文化の伝統が深く根を下ろした場所でもあります。高層ビルのすぐそばに、植民地時代の建物が寄り添うように立っているのが、シンガポールなのです。言葉も、英語と現地語の方言が入り乱れるように飛び交っています。世代を重ねて織り合わせ、適合させ、受け継がれてきた色彩豊かな文化絵巻を体験。
シンガポールの国語は英語ではなくマレー語です
シンガポールの国歌「マジュラー・シンガプーラ」(マレー語で「進めシンガポール」の意味)をよく聴いてみてください。歌詞はシンガポールの国語であるマレー語で書かれているのです。ほとんどのシンガポール人がバイリンガルで、公用語はマレー語、英語、マンダリン(中国語)そしてタミル語の4つです。そしてこれらの言語が会話の中で混じりあったりするのです。
英語は話し言葉として最もよく使われている言語です。シンガポールの多文化の歴史を学ぶには、シンガポール国立博物館の体感型展示がおすすめです。
シンガポールの宗教多様性の縮図が見られる街、ウォータールー・ストリート
ウォータールー・ストリートには、寺院や教会、モスク、そしてシナゴーグが平和に共存しています。人種や宗教の相互理解が浸透しているシンガポールを象徴する風景です。
シンガポールの主要な宗教は、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教、イスラム教、そして仏教です。ユニティ・イン・ダイバーシティ(多様性の中の統一)ツアーに参加すれば、なぜシンガポールが世界で最も宗教多様性の豊かな国の1つなのかを知ることができます。異なる宗教コミュニティ同士が互いに共通の基盤を持つことができるに至った歴史を学んでみましょう。
南インド由来の仏教寺院にそびえ立つ「ゴプラム」(塔門)や、モスクのドームやミナレットなど、独特な宗教建築も魅力にあふれています。
シンガポールの映画はカンヌ映画祭にも進出
シンガポールの映画は、世界中で高い評価を獲得しています。カンヌ映画祭で初めて上映されたシンガポール映画は「12 Storeys」(十二楼)(エリック・クー監督、1997年)でした。そして、2016年にはブー・ジュンフェン監督の「Apprentice(見習い)」が上映され、スタンディングオベーションの大喝采を浴びました。地元シンガポールの映画をチェックしたい人は、ザ・プロジェクターへ。ここはレトロな雰囲気の独立系映画館で、インディー系の映画を専門に上映しています。
シンガポールの神話のアイコン、マーライオン
マーライオンは、半分魚・半分ライオンという姿の、シンガポールのアイコンです。スマトラの王子がこの島で「シンガ」(ライオン)に出会ったという伝説があり、また魚は、シンガポールの地が古代には「テマセク」(海の町)と呼ばれていたことにちなんでいます。シンガポールには国を象徴するマーライオン像が全部で5つのあります。そのうちの2つがマーライオン公園の中に設置されています。
シングリッシュ(シンガポール英語)はオクスフォード英語辞典にも載るほどに有名に
シンガポールにしばらく滞在して、人々の会話に耳を傾けていると、言葉の最後に「ラー」を付け加えて話す人がいることに気がつくかもしれません。
シングリッシュの2つの単語、「ラー」と「シンセー」がオクスフォード英語辞典のオンライン版に掲載されているということ、ご存知でしたか?
毎年数多くのアートフェスティバルが開催されます
シンガポールでは一年を通じて様々なアートフェスティバルが開催されています。五感を刺激する芸術をぜひ体験してください。シンガポール・ライターズ(作家)・フェスティバル、シンガポール国際フィルム・フェスティバル、シンガポール・アートウィークなどのフェスティバルには文化を愛する人々が数多く集まり、パフォーマンスやワークショップ、パネルディスカッションなどで熱い盛り上がりを見せます。
シンガポールでは演劇文化も盛んです
大ヒットミュージカル作品から実験的なパフォーマンスまで、シンガポールの舞台芸術は高いクオリティを誇ります。マリーナ・ベイ・サンズのマスターカード・シアターでは「ライオン・キング」や「サウンド・オブ・ミュージック」などの大人気のミュージカルが上演されます。また、エスプラネード・シアター・オン・ザ・ベイで開催される「ダンズ・フェスティバル」では地元のダンスチームによるパフォーマンスをチェックすることができます。想像力を刺激する、現実離れしたパフォーマンスを堪能しましょう。
「風水」によって建てられたシンガポールの高層ビル群
シンガポールを代表する建築物の中には、「風水」を考慮して建設されているものもあります。風水は、「気」の流れによって物の配置を決める、中国古来の考え方です。例えば、マリーナ・ベイ・サンズの立地は、富の集まる場所として選ばれました。他にもシンガポール・フライヤーやグランド・ハイアット・シンガポール、タン・プラザやウィーロック・プレイスなどが「風水」の考え方を取り入れています。