シンガポールの食文化は、美味が織りなす多文化のタペストリーです。それを何よりも象徴したのが屋台料理と伝統料理ですが、この活気ある料理文化が常に進化を続けられているのは、モッド・シン料理に負うところが少なからずあります。

2005年に初めて使われた「モッド・シン」という造語は、この言葉を軸に地元料理に予想外にうれしい変化をもたらすことになります。

郊外の屋台からミシュラン星付きレストランまで、このガイドが両者いいとこどりの旅にご案内します。おすすめは、モダン料理で料理の視野を広げる前に元祖の味に舌鼓を打つこと。

Xiao Ya Tou
Xiao Ya Tou

中国語で「小さな反逆者」という意味を持つこのレストランでは、遊び心を加えたフュージョン料理や、ワンランク上の工夫を凝らしたシンガポールの定番料理をお楽しみいただけます。アンガス牛のサテーやトリュフの風味を効かせたローストダックは、同店のメニューを華やかに彩る料理のほんの一例です。

Xiao Ya Tou. 6 Duxton Hill, #01-01, Singapore 089592. +65 6226 1965


Nutmeg & Clove
Nutmeg & Clove

中国の伝統的なショップハウスを利用したこのレストランとカクテルバーは、定番料理とカクテルをシンガポール風に再解釈して、シンガポールの豊かな歴史にオマージュを捧げています。

Nutmeg & Clove. 8 Purvis St, Singapore 188587. +65 9389 9301


アヤム・ブアクルア
ババ・チューズ・バー・アンド・イータリー店内のワイドショット

「ニョニャ」*の食文化の中心、「アヤム・ブアクルア」(チキンのスパイシータマリンドソース煮込み)をシンガポールにもたらしたのは、ジャワ島やスマトラ島出身のプラナカンです。

この料理の色は、「ブアクルア」(東南アジア原産の黒いナッツ)から来ています。黒ナッツを茹で、発酵させ、水に数日間浸してやっと食べられるようになるなど、この料理には手のかかる準備が必要です。

プラナカン文化の厳格な料理文化については、ジョー・チャット/カトンにある「グアン・ホー・スーン」でもっと詳しく知ることができます。このレストランでは、余計な手を加えない、辛く香りのいいソースをかけた伝統的な「アヤム・ブアクルア」を食べられます。

次に立ち寄るのは、この伝統料理をヨーロッパ風にアレンジしている「ババ・チューズ」。プラナカン料理は、中国、マレーシア、インドネシアの料理の融合から引き出される、コクのある複雑な味わいで知られていますが、この店のメニューには、この組み合わせに西洋の影響が加わります。

「アヤム・ブアクルア」は、グリルしたチキンパテ、「ブアクルア」のピュレ、「アチャー」(アジア風ピクルス)とともに、バーガースタイルで供されます。

*ニョニャ料理はプラナカン( "現地生まれ"という意味) 料理とも呼ばれます。この料理は、中国人とマレー/インドネシア人の伝統を伝えるものです。

グアン・ホー・スーン 38/40 Joo Chiat Place, Singapore 427764. +65 6344 2761.
月曜日〜金曜日 午前11時〜午後3時、午後6時~午後9時30分、土曜日・日曜日 午前11時〜午後3時、午後5時30分〜午後9時30分

ババ・チューズ(カトン・スクエア) 86 East Coast Road, Singapore 428788. +65 6723 2025.
月曜日~木曜日・日曜日 午前6時30分〜午後11時、金曜日・土曜日 午前6時30分~午前0時


海南チキンライス
ラビリンス入り口のワイドショット 画像 Restaurant Labyrinth

シンガポール指折りの有名料理チキンライス。そのシンプルな材料とはうらはらのおいしさです。シンガポール人が愛するこの料理は、香り米、ピリ辛のチリ、生姜のペーストと、ゆで鶏かローストチキンを使います。

マックスウェル・フード・センターにある屋台「ティエン・ティエン・ハイナニーズ・チキンライス」が、米の香りがよく、チキンも柔らかでおすすめです。

この伝統の味を味わった後は、オーナーシェフのハン・リ・ガンが一風変わったモダンアレンジを加えた伝統料理を求めて、ミシュランの星を戴く「ラビリンス」を訪ねましょう。

シェフの“アンモ(Ang Moh)”(中国の方言で「白人」の意味)チキンライスは、地産キノコと家禽、ルウソースで煮込み、土鍋で供する一品。料理人として雇っていた英国人の口に合うように、シェフの祖母が編み出した料理です。

定番の地元料理のバリエーション、「ラビリンス・ロジャ」も味わってみましょう。この伝統的なフルーツサラダに定番で使われる揚げパンや豆もやしに代えて、庭で採れる10種類の食用ハーブ、花、スプラウト、ハリナシミツバチの蜂蜜を使っています。

ティエン・ティエン・ハイナニーズ・チキンライス(マックスウェル・フード・センター) 1 Kadayanallur Street #01-10/11, Singapore 069184 +65 9691 4852
火曜日〜日曜日 午前11時〜午後9時

ラビリンス(エスプラネード・モール)8 Raffles Avenue #02-23, Singapore 039802 +65 6223 4098
火曜日~金曜日 正午~午後2時30分、午後6時30分〜午後11時、土曜日・日曜日 午後6時30分〜午後11時


ワンタンミー
ワンタン麺を盛り付けている「ア・ヌードル・ストーリー」オーナーの人物写真

もとは広東人の移民の子孫がシンガポールに持ち込んだワンタンミーは、玉子麺にスライスした「叉焼」、一口大の「ワンタン」をのせて供する料理です。

この屋台料理は、さまざまなバリエーションがシンガポール全域にありますが、有名屋台の2大巨頭、「ホワ・キー・アウガン・フェイマス・ワンタンミー」と「チョー・キー・ヌードル」があるのが、オールド・エアポート・ロード・フードセンターです。

シンガポール料理が世界中の料理から受けている影響を知るなら、アモイ・ストリート・フードセンターがおすすめです。ここに、ミシュランビブグルマンを受賞した「ア・ヌードル・ストーリー」があります。

この店では日本の「ラーメン」の代わりに玉子麺を使い、すべてに柔らかくローストしたお肉、エビのジャガイモ包み揚げ、ワンタンなどのおいしいトッピングが乗っています。

ホワ・キー・アウガン・フェイマス・ワンタンミー(オールド・エアポート・ロード・フードセンター) 51 Old Airport Road #01-02, Singapore 390051. +65 9620 1543.
月曜日・水曜日〜日曜日 午前8時〜午後10時

チョー・キー・ヌードル(オールド・エアポート・ロード・フードセンター) 51 Old Airport Road #01-04, Singapore 390051. +65 9455 0963.
月曜日~金曜日 午前11時~午後11時、土曜日・日曜日 午前10時~午後10時

ア・ヌードル・ストーリー(アモイ・ストリート・フードセンター) 7 Maxwell Road #01-39, Singapore 069111. +65 9027 6289
月曜日〜金曜日 午前11時30分〜午後2時、午後5時30分〜午後7時、土曜日 午前10時30分〜午後1時30分